ブライアン・ジョンソンが毎日食べる「食材リスト」。成分の意図と、私たちの食卓に活かすヒント

前回の記事では、ブライアン・ジョンソンの食事ルール——午前11時〜正午に食事を終えること、3食の構成——について触れてきました。

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今回はその食べ方編の続きとして、公式レシピに登場する食材を一つずつ確認してみます。

実は、彼が毎日食べている食材を見てみると、日本のスーパーで普通に手に入るものがたくさんあります。「成分の意図を理解し、私たちの食卓で無理なく再現するには?」——今回はその視点で整理してみたいと思います。

この記事の結論(忙しい方はここだけ!)

世界中のバイオハッカーが真似する「2大公式レシピ」

ブライアンが毎日欠かさず食べているのが、2つの固定メニューです。

Super Veggie(スーパーベジー)

黒レンズ豆・ブロッコリー・カリフラワー・マッシュルーム・にんにく・生姜・ライム・クミン・リンゴ酢・麻の実・エキストラバージンオリーブオイルを組み合わせた温野菜ボウルです。作り方は、野菜を7〜9分茹でるかまたは蒸し、レンズ豆は別鍋で18〜20分煮てアルデンテに仕上げ、クミン・リンゴ酢・ライムと合わせます。そのまま盛り付ける「ホールベジー版」と、ブレンダーでなめらかなにする「スープ版」があり、どちらも公式で紹介されています。最後に麻の実とオリーブオイルをかけて完成です。

※写真はイメージです

Longevity Protein(ロンジェビティ プロテイン/旧・Nutty Pudding)

マカダミアナッツやくるみ、チアシード、ベリー類、ザクロジュースなどをベースに、えんどう豆プロテインなどの植物性パウダーやコラーゲンペプチドをブレンダー(ミキサー)でなめらかに混ぜ合わせたメニューです。植物性タンパク質をはじめ、豊富な良質の脂質や抗酸化物質をカロリーあたりの最高密度で凝縮しており、細胞の抗酸化と日々の健やかな体づくりを同時に狙う、まるで贅沢なデザートのようなメニューとなっています。

※写真はイメージです

日替わりメニュー

3食目は日によって変わります。ひよこ豆・ズッキーニ・パプリカ・さつまいも・葉物野菜(ほうれん草・ケールなど)・アボカドなど、野菜・豆類・全粒穀物を中心とした食材が登場します。いずれも日本のスーパーで手軽に入手できるものです。

なぜこれらを毎日食べるのか。Blueprint公式が最重要原則として掲げているのは「Nutrient Density is King(栄養密度こそが最重要)」という考え方です。カロリーあたりの栄養密度を最大化すること——これがジョンソンの食事選択のすべての出発点です。

その実現のために、食材は主に3つの目的で選ばれています。慢性炎症と酸化ストレスを継続的に抑えること、主に植物性食品(亜麻仁・えんどう豆・麻の実・豆類・野菜・ナッツ等)とコラーゲンペプチドを組み合わせ、1日130gのタンパク質を確保すること、そして豊富な食物繊維と発酵食品で腸内環境を整えることです。

なお、ジョンソンのメニューはすべて植物性食品で構成されています。ただしこれはジョンソン個人の選択であり、Blueprintの食事法がヴィーガンであることを前提としているわけではありません。ジョンソンが植物性食品を選ぶ理由は、「科学的エビデンスが動物性食品なしでも最適な健康を達成できることを示しているから」と「倫理的な信念から」の2点を自ら語っています。

公式レシピによく登場する食材と「成分の意図」

基本の野菜・主食

ブロッコリー・カリフラワー
スルフォラファンという成分が、細胞の防御機能(Nrf2経路)を活性化します。2025年のbioRxiv掲載の研究(査読前)では、スルフォラファンが線虫の寿命を50%以上延長したことが示されています。特別な調理は不要で、蒸すだけで十分な成分を摂取できます。

マッシュルーム(シイタケ・マイタケ)
ベータグルカンが免疫機能を調整し、腸内環境の改善にも関わります。ブライアンがわざわざ「Shiitake」「Maitake」と指定しているのは、日本が本場の食材だからでもあります。日本では最も新鮮なものを安価に手に入れられる、私たちの強みです。

黒レンズ豆
研究で比較された主要な豆類の中で、最も高いポリフェノール含有量を持つとされています(International Journal of Molecular Sciences, 2017)。2024年のランダム化比較試験では、レンズ豆の定期的な摂取が食後血糖値・炎症マーカー・LDLコレステロールの改善に関わることが確認されています。乾燥タイプや水煮缶で手軽に取り入れられます。

ひよこ豆
3食目の日替わりメニューに登場する豆類です。良質な植物性タンパク質・食物繊維・葉酸を豊富に含み、血糖値の安定と腸内環境の改善に関わります。Blueprint公式レシピでは、チキピーカレーやドレッシングのベースとして使われています。乾燥タイプや水煮缶で手軽に取り入れられます。

えんどう豆プロテイン(ピープロテイン)
Longevity Proteinの主要成分として含まれています。2024年のランダム化比較試験では、えんどう豆プロテインが高齢男性の筋肉タンパク質合成率をホエイプロテインと同程度に高めることが確認されています(American Journal of Clinical Nutrition, 2024)。動物性タンパク質に頼らずに筋肉量を維持できるという点で、植物性食品中心の食事において重要な役割を担っています。日本でもパウダータイプのものが健康食品店などで入手できます。

キヌア・紫芋
低GIの良質な炭水化物源です。紫芋のアントシアニンは強い抗酸化作用を持ちます。

脳と細胞膜を守るナッツ・種実類

マカダミアナッツ・くるみ オメガ3脂肪酸と良質な脂質が、脳機能の維持と炎症の軽減に関わります。素焼きのミックスナッツとして手軽に購入できます。

ブラジルナッツ セレンという抗酸化ミネラルを非常に豊富に含みます。ただし1日1粒程度で十分な量を満たせるため、過剰摂取には注意が必要です。

チアシード・亜麻仁・麻の実 植物性オメガ3(α-リノレン酸)と豊富な食物繊維を含みます。血管のしなやかさと腸内環境の維持に関わります。スーパーの健康食品コーナーで入手できます。

強烈な抗酸化を放つフルーツ・カカオ

ミックスベリー(ブルーベリー・ストロベリー・ラズベリー)・チェリー アントシアニンとポリフェノールが豊富で、血管の若返りと脳機能のサポートに関わります。2024年のメタ分析では、ポリフェノールを多く摂る人は全死因死亡リスクが約7%低い傾向が示されています(NCBI, 2024)。生のベリーを毎日大量に消費するのは日本では少し難しいですが、冷凍ブルーベリーをストックしておくのが現実的な選択です。

ザクロ(ポメグラネートジュース)
ポリフェノールの一種エラグ酸が腸内細菌によって代謝され、ウロリチンAという成分に変換されます。このウロリチンAがミトコンドリアの機能改善やオートファジーの促進に関わる可能性が示されており(Nature Metabolism, 2019)、近年の長寿科学で注目されています。Longevity Proteinにエキスとして含まれています。

ココアパウダー(カカオ) カカオポリフェノールが血流改善と認知機能のサポートに関わります。砂糖不使用の純ココアを選べばそのまま日々の習慣にできます。

ダークチョコレート(カカオ85%以上)
ジョンソンは毎日15gのダークチョコレートを摂取しています。カカオポリフェノールが血流改善と認知機能のサポートに関わります。砂糖が少ないカカオ85%以上のものを選ぶのがポイントです。

炎症を抑えるスパイス・調味料/その他の注目食材

ターメリック(ウコン) クルクミンの抗炎症・抗酸化作用は複数の研究で示されています(Nutrients, 2024)。ただし体内への吸収率が低いため、黒コショウと一緒に使うことで吸収が大幅に高まります。

クミン・シナモン(セイロン産) 抗糖化作用と血糖値の安定に関わります。シナモンはセイロン産とカシア産で成分が異なるため、長期的に使う場合はセイロン産を選ぶのが無難です。

にんにく・生姜・ライム・リンゴ酢 アリシン(にんにく)・ジンゲロール(生姜)・酢酸(リンゴ酢)が代謝促進・抗炎症・血管拡張に関わります。すべて日本のスーパーの定番食材です。

エキストラバージンオリーブオイル オレイン酸とオレオカンタールが強力な抗炎症・心血管保護作用を持ちます。質の良いオリーブオイルを日常の定番にしながら、調理用途に合わせて米油などを使い分けるのも、日本の食卓に馴染みやすい選択です。

グレープシードエキス
ブドウの種子から抽出されるポリフェノールの一種(プロシアニジンC1)が、老化細胞(ゾンビ細胞)を除去するセノリティクス作用を持つ可能性が示されています。マウスの寿命を平均9%延長したという研究が、Nature Metabolismに掲載されています(Xu et al., 2021)。ただしヒトへの効果はまだ研究途上です。

発酵食品
Super Veggieのトッピングとして毎日摂取しています。腸内環境の改善と免疫機能のサポートに関わります。日本では味噌・キムチ・ぬか漬けなど身近な食材が豊富です。

アボカド
3食目の定番食材として登場します。オレイン酸・カリウム・食物繊維が豊富で、血管の健康と腸内環境のサポートに関わります。

今回は2026年時点の公式レシピをもとに整理しています。ジョンソンのメニューは継続的にアップデートされるため、最新情報はBlueprint公式サイト(blueprint.bryanjohnson.com)でご確認ください。

大切なのは、体調を観察しアップデートし続ける姿勢

ブライアンの食事編を通じて見えてきたのは、カロリーあたりの栄養密度を最大化しながら、慢性炎症と酸化ストレスを食事から継続的に抑える食材を選ぶ、という姿勢でした。

たくさんの食材について見ていきましたが、ブライアンの食材やレシピを、そのまま真似する必要はありません。ブロッコリーを茹でて食べ、ナッツを日常のおやつにし、冷凍ブルーベリーをデザートに加え、料理に生姜やターメリック・クミンを使う。食材の「成分の意図」さえ理解していれば、彼の知見を食卓に取り入れることはできそうです。

そして、大切なのは一度にすべてを変えようとしないこと。気になる食材を一つ取り入れてみて、体調の変化を観察する。ブライアン自身もアップデートを続けているように、合わないと感じたら外してみる——そのくり返しがこのアプローチの本質なのかもしれません。

さて、私たちはここまで大富豪が巨額の富を投じて実践する「最先端の科学」が導き出す食事を見てきました。 ですが、世界には、科学の力を借りずとも、日々の素朴な暮らしの中で「当たり前に100歳を生きる人々」が集まる不思議な地域が存在します。

次回からは、世界5大長寿地域「ブルーゾーン」の秘密へと、旅を進めていきましょう。

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参照ソース

Ganesan K, Xu B. “Polyphenol-Rich Lentils and Their Health Promoting Effects.” International Journal of Molecular Sciences, 2017. DOI: 10.3390/IJMS18112390

Healthline. “Lentils: Nutrition, Benefits, and How to Cook Them.” Updated 2024.(2024年RCT:レンズ豆と血糖値・LDL改善)

Fiore M et al. “Increasing Life Expectancy with Plant Polyphenols: Lessons from the Mediterranean and Japanese Diets.” Molecules, 2025. DOI: 10.3390/molecules30132888

Dietary Intake of Polyphenols and All-Cause Mortality: A Systematic Review with Meta-Analysis. NCBI/PMC, 2024.(ポリフェノール摂取と全死因死亡リスク7%低下)

Sedore CA et al. “The broccoli derivative sulforaphane extends lifespan by slowing the transcriptional aging clock.” bioRxiv, 2025.(査読前プレプリント)DOI: 10.1101/2025.05.11.653363

Bryan Johnson Blueprint official. blueprint.bryanjohnson.com, 2026.

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この記事を書いた人

ウェルネス・ウェルビーイング専門メディアの編集者として、10年以上にわたり医師や専門家への取材・企画に携わる。

日々アップデートされる長寿科学(Longevity)の情報を、中立・客観的な視点で整理し、考察を深める。若さへの執着ではなく、自分らしく生き切るための「老化ハック」を探究中。

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